高島市で認知症の男性が残した想いと苦悩

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約10年前、ある認知症の男性が京都市の公園で保護され、高島市の施設に入所しました

この男性は、名乗った名前が戸籍に見つからず、家族や知人の情報もなく、彼の背景には多くの謎が隠れています

名は「田中清」さん

彼は2013年12月に衰弱し、警察によって保護されました

その後、脳血管性認知症が診断され、名乗った名前に関する戸籍が存在しないことから、家庭裁判所で就籍手続きが行われました

田中さんは亡くなる半年前まで、京都新聞などの取材に応じ、自らの手がかりを探し続けていましたが、「京都に帰りたい」という願いは叶うことがありませんでした

彼の思い出に残る言葉として「天神川」や「紙屋川」といった京都の地名もあり、彼の心の中には常に故郷が存在していました

支援を行っていたNPO法人「ゆい」の相談員、谷本千里さんは「田中さんは出自を知り、京都に帰りたい気持ちを持っていた」と語りました

田中さんは過去にアルミ缶回収をしながら路上生活をしていたため、生活はとても厳しいものでした

彼は右半身に麻痺がありながらも、台車を使って生き抜いていました

田中さんの職業は型友禅の職人ですが、仕事中にけがをしてしまい、才能を活かせなくなったことが背景にあります

谷本さんは田中さんとの交流を通じて、彼が望む人生の実現に向けて何度も支援を行いました

高島の施設では年2回訪問し、田中さんの気持ちを少しでも理解するように努めていました

残念ながら、彼の希望は実現しませんでしたが、谷本さんは最後に田中さんに日本酒を贈り、心の中で感謝の気持ちを伝えました

認知症は増加しており、身近な人がその影響を受ける可能性は高いです

今年施行された認知症基本法は、認知症の人が望む生活を維持できる社会を目指しています

私たちは、認知症を持つ人々との向き合い方を今一度考え直す必要があるのではないでしょうか

ピックアップ解説

「認知症」という言葉は、脳が損傷されることによって起こる病気を指します。認知症になると、日常生活に必要な記憶や判断能力が損なわれるため、自分のことも忘れてしまうことがあります。例えば、物の名前が思い出せなかったり、身近な人のことを認識できなくなることもあります。近年、日本では認知症患者の数が増加しており、約523万人と推計されています。私たちの身近な人も、いずれこの病気と向き合う可能性があるため、理解を深め、偏見をなくすことが大切です。認知症の人が尊厳を持って暮らせる社会を皆で作り上げていく必要があります。

キーワード解説

  • 認知症とは、脳の病気によって思考や行動に障害をもたらす状態です。
  • NPOとは、非営利活動を行う団体で、ボランティアによって社会の課題解決を目指します。
  • 型友禅とは、染色技法の一つで、型紙を使って模様を染める方法のことです。

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